Model Case | 想定モデル

ベテランの頭の中を、構造化して残す。

中堅製造業(IBM i環境)を想定したモデルケース。基幹を作り直さず、読み取り専用の接続から始めて、「その人にしかできない判断」を会社の資産に変えていく進め方を、架空の会社を舞台に具体的に描きます。

区分: 想定モデル(非・導入事例)執筆: 株式会社CET Legacy Bridgeチーム更新日: 2026年8月4日
この記事は「想定モデル」です。実在企業の導入事例ではありません。一般的な条件を置いたモデルケース(シミュレーション)として、進め方と成果物のイメージをお伝えするものです。登場する企業名・人名・数値はすべて架空です。

想定した会社(架空)

モデル企業のプロフィール(すべて架空の設定です)
業種・規模自動車部品製造(二次サプライヤー)・従業員 約180名
基幹システムIBM i(AS/400)。RPGで作られた受発注・在庫・出荷管理、稼働 約25年
ドキュメント導入時の仕様書はあるが、その後の改修が反映されておらず実態と不一致
基幹を触れるのは再雇用の田中さん(64歳・架空)ただ一人。受注の例外判断も事実上、田中さんの頭の中
受注チャネル電話・FAXが中心。特急対応や代替品の可否は都度判断

この構成は、当社が相談の場でよくうかがう条件を組み合わせたものです。もし貴社に似ているなら、この記事の進め方はそのまま検討のたたき台になります。

問題は「システムが古い」ではなく、「判断が属人化している」

このモデル企業で本当に怖いのは、サーバーの故障ではありません。田中さんの退職です。頭の中には、たとえばこんな判断が入っています。

仕様書を書き直すだけでは、この層は残りません。プログラムの外にある「判断」だからです。

進め方: 読み取り接続から、判断の構造化へ

Legacy Bridgeの標準の進め方(5つの段階)に沿って、このモデルケースでは次のように進みます。

第1段階〜第2段階: 診断と読み取り接続

まず現状・投資判断診断で、基幹の環境と「判断がどこに住んでいるか」の所在マップを作ります。そのうえで読み取り専用のアカウントを発行してもらい、受発注・在庫・出荷のデータを参照できる状態を作ります。基幹への書き込みはせず、業務はこれまでどおりです。

第3段階: 判断パターンの抽出

ここがこのモデルの中心です。過去数年分の伝票と出荷実績をAIで読み、「田中さんが例外対応をした形跡」を洗い出します。並行して本人へのヒアリングを行い、記録と突き合わせて、判断を「条件と結論」の形に書き起こしていきます。

ポイントは、文書化を田中さんの宿題にしないことです。記録から仮説を作るのはAIの仕事、正しいかを確かめるのが田中さんの仕事という分担にすると、現場の負担が大きく変わります。

第4段階〜第5段階: 台帳化と、日常業務への組み込み

整理した判断は「判断ルール台帳」として残し、受注担当が使う照会画面に組み込みます。定型の判断はAIが候補を提示し、台帳にない例外だけが人に回る形です。

成果物のイメージ: 判断ルール台帳(抜粋・架空)

台帳の粒度のイメージ。内容はすべて架空です
場面これまで(頭の中)構造化後
特急依頼(得意先A・品番X系)「Aさんなら受けて大丈夫」在庫が安全在庫+20%以上、かつ当日出荷便に空きがあれば受注可。それ以外は人へ
欠品時の代替提案「この用途なら上位等級で通る」代替可否マトリクス(品番×得意先×用途)。マトリクス外は人へ
判断に迷う例外田中さんに聞く台帳に「未確定」として記録し、月次で本人と確定。台帳が育ち続ける仕組みにする

実際の台帳の項目立ては、診断で貴社の業務に合わせて設計します。

効果の考え方(モデル上の仮定)

このモデルでは、仮に「在庫・納期の電話確認が1日40件、1件3分」とすると、月間でおよそ44時間が確認作業に使われている計算になります(営業日22日)。読み取り接続で担当者が自分で照会できるようになれば、この時間の多くを削れる可能性があります。

ただし、これはモデル上の仮定です。貴社の数字での試算は、サービスページの費用試算か、無料適合相談でどうぞ。そして金額よりも大きいのは、「田中さんが退職しても、判断の骨格が会社に残る」ことです。ここは金額に換算しにくいからこそ、経営判断が要る部分だと考えています。

このモデルケースからの学び

よくあるご質問

判断まで自動化できるのですか?
定型化できた判断について、AIが候補を提示するところまでです。受注の確定や例外の裁定など、業務上の結論は人が出します。台帳にない例外を無理に自動化しないことが、安全に運用するための設計だと考えています。
うちのベテランは、文書化に協力的ではありません。
よくあるお悩みです。このモデルの進め方は「本人に書いてもらう」のではなく、伝票や出荷実績などの記録からAIが判断の仮説を作り、本人には「合っているか」だけを確かめてもらう形です。負担が小さいぶん、協力を得やすくなります。
この記事は「想定モデル」です。実在企業の導入事例ではありません。一般的な条件を置いたモデルケース(シミュレーション)として、進め方と成果物のイメージをお伝えするものです。登場する企業名・人名・数値はすべて架空です。

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