CET INSIGHTS  /  技術で見る業務自動化 ②

オンプレの古いシステムを、API化して、その先へ
技術で見る「接続」のすべて

「うちのオンプレのIBM iに、本当に繋がるのか」——情シスの方からよくいただく、最も切実な問いです。この記事では営業トークを脇に置き、オンプレ環境の古いシステムを起点に、どうデータを取り出し、どう変換し、どうAPIにし、そして接続したあと何をするのか。その技術的なフローを、順を追って具体的にご説明します。

どう繋ぐのか 株式会社CET  |  オンプレ → API化  |  読了目安 10分
Introduction

「繋がるか」は、5つのステップで確かめられる

古い基幹システムの近代化と聞くと、「全部作り直す大工事」を思い浮かべるかもしれません。CETのアプローチは違います。既存システムは止めず・触らず、横からデータを取り出してAPI化する。そのために踏むのが、次の5つのステップです。

0
現状把握 ── どう繋ぐかを見極める
オンプレかクラウドか、仮想基盤の有無、外部接続の可否、リアルタイム要否。4つの問いで方式が決まる。
1
接続 ── アダプタを「どこに置くか」
設置形態は4パターン。環境に合わせて器だけを選ぶ。
2
取得 ── レガシーからデータを引き出す
ジャーナル・SQL・画面操作・ファイル。古いシステムでも引き出す道は必ずある。
3
変換とAPI化 ── 現代の言葉に翻訳する
文字コードや独特な形式を変換し、標準的なAPIとして外に出す。
4
その後 ── 検証し、任せ、見守り続ける
API化はゴールではない。ここからが業務自動化の本番。

順番に見ていきましょう。今回は、最も手強いとされるオンプレのIBM i(AS/400)を主な例にします。これが繋がるなら、たいていの環境は繋がります。

STEP0
現状把握 ── どう繋ぐかを見極める
初期診断 / 4つの問いで方式が決まる

いきなり繋ぎにいくことはしません。最初に、対象システムの「繋ぎ方」を見極めます。CETは初期診断で、次の4つを確認します。

第一に、基幹システムはオンプレか、クラウドか。第二に、オンプレなら仮想基盤(VMware / Hyper-V)があるか。第三に、外部ネットワーク接続が許可されるか。第四に、リアルタイム連携が必須か、日次バッチで足りるか

この4問だけで、後述する接続方式と設置形態が、ほぼ自動的に絞り込めます。「とりあえず繋いでみる」のではなく、繋ぐ前に最適な道を決める。これが手戻りを防ぎ、見積もりの精度を上げます。

なぜ最初に見極めるのか 接続方式を後から変えるのは、配管を引き直すのと同じで大きな手戻りになります。だからこそ、初期診断の段階で「この会社はどの方式か」を確定させます。診断は通常1〜2ヶ月、費用は30〜50万円程度を想定しています。
STEP1
接続 ── アダプタを「どこに置くか」
設置形態は4パターン。器だけを選ぶ

CETの接続アダプタ本体は1つです。変えるのは、それを動かす場所(器)だけ。オンプレかどうか、エッジサーバーが要るかどうかで、次の4パターンから選びます。

物理エッジ型

想定 約30%

外部接続を許さない・隔離されたオンプレ向け。CETが小型サーバーを社内に持ち込み、LAN内に設置。最も手間はかかるが、最も安心感が高い。

仮想エッジ型

想定 約60%

既にVMware / Hyper-V等の仮想基盤がある場合。そこにアダプタのVMを1つ立てるだけ。機材持込不要で設置が早い。中堅企業の主力パターン。

クラウド直結型

クラウドERP等

基幹が既にクラウド(SAP S/4HANA・各種SaaS)にある場合。エッジ不要で、CET側からAPIで直接接続。設置作業はほぼゼロ。

ファイル連携型

想定 約10%

リアルタイム接続が難しい・不要な場合。日次でCSV等を共有フォルダやSFTPに置いてもらう。原始的だが、どんな環境でも必ず動く「最後の砦」。

技術アダプタはコンテナ化されている

4パターンで中身を作り分けているわけではありません。アダプタは環境に依存しないDockerコンテナとしてパッケージされており、「物理サーバーに載せる」「顧客のVMに載せる」「CETのクラウドで動かす」を、同じ成果物を置く場所だけ変える形で実現します。だから品質が安定し、構築も速い。

Qうちはセキュリティが厳しく、外部にデータを出せない。
Aその場合は物理エッジ型または仮想エッジ型を選びます。データ処理を社内ネットワーク内で完結させ、外部に出さない構成が可能です。何を外に出し、何を出さないかは、初期診断でセキュリティ部門と一緒に設計します。

STEP2
取得 ── レガシーからデータを引き出す
古いシステムでも、引き出す道は必ずある

器を置いたら、次は実際にデータを引き出します。「古すぎて取り出せないのでは」と心配されますが、レガシーには必ず引き出し口があります。CETは対象に応じて最適な方法を選びます。

方法1:データベースを直接読む(SQL)

IBM i のDb2 for iや、SQL Server・Oracleなどは、SQLで直接読み取れます。最も素直で確実な方法です。まずはここを狙います。

方法2:更新ログを拾う(ジャーナル)

IBM i のジャーナル機能のように、データの変更履歴を記録する仕組みがあれば、それを監視して「変わったところだけ」を効率的に取得できます。リアルタイム連携に向きます。

方法3:画面を操作する(端末エミュレーション)

DBに直接触れない場合の手段です。人が緑画面(5250端末など)を操作するのと同じことを、AIが画面越しに行ってデータを取得・入力します。最後の手段ですが、これがあるからこそ「繋がらないシステム」はほぼありません。

方法4:ファイルを受け渡す(CSV / 固定長)

夜間バッチが吐き出すCSVや固定長ファイルを受け取る方法。リアルタイム性は落ちますが、最も確実で、どんな環境でも成立します。

CETの強みが効くところ これらの「引き出し方」を見極め、古いコード(RPG / COBOL)とデータ構造を読み解くのが、IBM出身者を含むエンタープライズ専門チームの領域です。解読エンジンROSETTAが、属人化したシステムの中身を可視化します。
STEP3
変換とAPI化 ── 現代の言葉に翻訳する
古い形式を標準APIへ。ここが共通化の宝庫

取り出したデータは、そのままでは使えません。古いシステム特有の形式を、現代のシステムが理解できる形に変換し、標準的なAPIとして外に出します。この一連が「API化」の実体です。

RAW
レガシーの生データ
EBCDIC・固定長・和暦など独特な形式
CONVERT
変換エンジン
文字コード・数値・日付を標準形式へ
API
標準API
REST / JSON で誰でも使える形に

変換でよく出てくる「古い世界の言葉」と、その翻訳先は、たとえば次のようなものです。これらはどの会社でも判で押したように同じ罠として現れるため、CETでは共通の変換ライブラリとして資産化しています。

レガシーの形式
標準形式へ
EBCDIC(文字コード)
UTF-8
ゾーン10進・パック10進
数値(integer / decimal)
固定長レコード
構造化データ(JSON)
和暦・独自日付(YYMMDD等)
ISO 8601(YYYY-MM-DD)
半角カナ・外字
正規化された文字列
技術API変換器 RHYTHM の役割

さらに、夜間バッチでしか動かなかった処理を、リアルタイムに呼び出せるAPIへと変換するのがRHYTHMです。「夜間バッチで翌朝確認」という非同期の業務文化を、秒単位で応答する世界へ置き換えます。これにより、古いシステムが現代のSaaSやAIエージェントと対等に会話できるようになります。

古い形式を翻訳し、標準APIにする。
これで、30年前のシステムが現代の言葉を話しはじめる。
STEP4
その後 ── 検証し、任せ、見守り続ける
API化はゴールではなく、本番のはじまり

API化できた瞬間に、業務が自動化されるわけではありません。むしろここからが本番です。取り出せるようになったデータを使って、どう安全に業務を任せていくか。CETは段階を踏みます。

A
データ検証(シャドー運用)
API経由で取れたデータが、正しく・欠けなく流れているかを実行せずに検証。STEP3の変換が正しいかを、ここで実データで裏取りする。
B
判断を見せるだけ
AIが業務判断を出すが、実行はせず人に提示。担当者の判断と突き合わせ、精度と信頼を測る。
C
段階的に任せる
被害が社内で閉じる低リスク業務から自動化。金額の閾値で線を引き、経営判断は人が持ち続ける。
D
見守り続ける
監視ガードSENTINELが24時間データの流れを監視。業務変化に合わせて改善し、次の業務へ拡張していく。

この「検証 → 見せる → 任せる → 見守る」の流れは、技術的な接続(STEP0〜3)の上に乗る業務の育成プロセスです。詳しくは別記事「AI業務自動化を育てる4つの局面」で解説しています。

技術と運用は、地続き 多くのプロジェクトは「API化(STEP3)」で力尽きます。しかし本当に価値が出るのはSTEP4から。CETが接続を製品化し、構築を速くするのは、その先の運用に体力を残すためでもあります。
Commonization

各社でシステムが違うのに、なぜ速く繋げるのか

「会社ごとにシステムが違うなら、毎回ゼロから作るのでは?」——よくある疑問です。答えは「いいえ」。CETは7〜8割を共通化しています。秘訣は、3つの層に分けることです。

1
接続アダプタを製品化する
中堅企業の接続先は、現実には5〜6種類(IBM i / SQL Server / Oracle / Access / ファイル)に収束する。一度作れば、2社目以降は流用できる。
2
変換処理を共通エンジン化する
EBCDIC→UTF-8、和暦変換などは、どの会社でも同じ罠。一度ライブラリ化すれば、ほぼそのまま使い回せる。共通化率が最も高い領域。
3
各社の違いは、設定ファイルに逃がす
接続先IP・テーブル名・項目の対応など「各社固有の情報」は、コードではなくYAML等の設定に外出し。新規顧客の追加が「設定1枚」で済む。

たとえるなら、注文住宅と工務店の標準工法の違いです。基礎・配管・電気配線(接続・変換・基盤)は標準化された工法で組み、間取りと内装(各社固有の業務)だけを合わせる。毎回ゼロから設計するのをやめることで、初期構築は大きく圧縮できます。

配管は共通化し、中身(業務判断)は各社固有。
この切り分けが、速さと品質を両立させる。
Technical Q&A

技術担当者からのよくあるご質問

Q既存システムに負荷やリスクをかけませんか?
A原則として読み取り中心で接続し、本番系への影響を最小化します。書き戻し(連携チャネルNEXUS)を行う場合も、シャドー運用で安全を確認してから段階的に有効化します。既存システムを止めることはありません。

QRPGやCOBOLのソースが残っていない場合は?
Aソースがなくても、データベースの構造や画面の挙動から業務ロジックを解析できます(ROSETTA)。もちろんソースがあるほうが速く正確ですが、「ソースが見当たらない」はよくある状況であり、対応可能です。

Qどれくらいの期間で「繋がった」状態になりますか?
A環境によりますが、初期診断(STEP0)を1〜2ヶ月、接続〜API化(STEP1〜3)を数週間〜数ヶ月で進めるのが一般的な想定です。共通化された部品を使うため、構築期間は年々短縮しています。

※ 本記事に記載した接続方式・割合・期間は、中堅企業で典型的に見られる状況をもとにした想定・試算です。実際の方式・期間は、対象システムや要件により異なります。具体的なご提案は初期診断にて個別に行います。

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第1回
考え方
接続して終わり、ではない
AI業務自動化を「育てる」4つの局面 / なぜ「育てる」のか
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